男の娘☆セミナー


男の娘☆セミナー1 ~商標権の新たな運用法、可能性を探る~

2011年12月24日 江東区文化センター研修室1にて開催しました。
友人が別件で押さえていた会場の時間を間借りしての開催であった為、
案内不足などでご不便をおかけして申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。
また、多くのご参加ありがとうございました。
コミックマーケット準備会、コミティア実行委員会、クリエイション事務局等の有識者や、
評論家、マスコミ、大手企業の方などを交え、有意義な時間となりました事に御礼申し上げます。


このページの概要





視点と経緯


まず、今回の件を、名称の使用の良し悪しという風に単純化して考える方がおられるようですが、
私が問題としているのは、イベントを運営する人として姿勢の問題です。

ハッキリ言って『男の娘』の名称は使ってOKな方針です。

なので『計画』(ケットコムでの検索結果の説明文)や
だって男の娘だもんっ!』(スタジオYOU)については、
何の制限もかかっておりません。

そもそも制限をかける事や、独占する事が目的なのであれば、
2006年の初回開催の時に商標権を申請していたでしょう。


さて今回の経緯としては、
イベント主催団体モノリスの設立時は、商標権を取得しない運営方針でした。
また、2009年から始まった男の娘ブームの時にも、『商標権をどうするか?』という話題が出ましたが、
まさか「名前をぶつけてくる人は出てこないだろう」という性善説的な考えの下、
商標権の申請は行わなかったのですが、
下記のような主張をしてくる人が出てくるのであれば、話が変わってきてしまいます。

「男の娘☆は有名ではないから問題無い」
この言葉を言われたのが、面識の無い人であれば別の話になってたのですが、
モノリスも参加している全国同人誌即売会連絡会の参加団体の方であり、
また、『男の娘☆』のサークル参加者でもある方だったので驚きました。

「男の娘は元はショタのものだ」
意味が解りません。誰のものとかそういう問題なのでしょうか?

「文句があるなら商標権を取ればいい」
先程の有名(著名)の問題は不正競争防止法の範疇ですし、
商標法まで持ち出してくるとは、そんなに法的に争いたいのでしょうか?


「文句があるなら・・・」と言われるならば、「はい、文句があります。」
上記のような独善的な考え方でイベント運営を行われると、いつか問題が起きかねません。
そのような姿勢で運営される団体に、同じ読みの名称を使われるのは迷惑です。
(後日、懸念は現実となって、会場利用の問題が起きてしまうのですが・・・)

だからこそ名称の変更を打診したのですが、聞き入れて頂けないどころか、
「許可は得た」と勝手に思い込まれていました。

どう解釈したらそうなるのでしょう?
話が通じないとはまさにこの事です。

更に、ショタクスラッチ代表しか知りえない内容の脅迫電話がかかってきたのですが、
その電話の内容がまた独善的でした。

「都条例問題で皆が団結しなければならない時に問題を起こすな!」
その言葉をそっくりそのままお返しします。
身内の事は棚に上げてそういう事を言いますか?

その上、脅迫電話の主が関わっている「都産祭」というイベントで
『男の娘』というイベントが告知されました。
問題になる事を知っていて何故名前がぶつかる事を止めない?
(開催時には「偽娘時間」に変更されたので問題にはならなかったのですが)

大丈夫か?この業界。

10~30倍規模のイベントが、小さなイベントの名称を無断利用する事や、
そのような団体が結託して小さなイベントを潰すような事がまかり通っては、
同人誌即売会業界に痛恨の悪例を残す事になります。
もはや性善説を信じての運営には限界があり、何らかの対策が必要な事態です。
そんな事もあろうかと予め打っておいた手が、相手方のご提案通りの商標権申請です。

この商標権の取得がイベント運営として自殺行為だという意見もありますが、
上記の行為は笑って見過ごせる妨害行為の範囲を超えており、
遅かれ早かれ、当方のイベント続行は難しくなるでしょう。

そう言えば日本には、
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
という格言がありましたね。

そんな訳で、商標権の取得目的は、
業界に関わる人がその姿勢を再確認するきっかけを作る事と、運営妨害対策です。
決して、名称の独占や金銭目的ではありませんので、
男の娘の名称の利用については今まで通り使ってOKだと思っています。

とは言え、商標の運用方針が客観的に解りにくいというご意見も頂いておりますので、
近日中にガイドラインを作らせていただきます。


セミナー資料と補足



当日に使用した資料を画像で掲載します。
また、誤字脱字が多くて申し訳ありませんでした。気づいた箇所は直しました。



目次です



事前情報で『参加者の中には同人誌即売会を知らない方がおられる』
との事なので、急遽用意した同人誌即売会の説明です。

あくまでも私の視点で見た同人誌即売会とその業界です。
楽しい創作物の販売が行われている場であると共に、
法や条例のグレーゾーンに踏み込んだ業界であるという側面もあります。


何かと誤解の多い商標権。おさらいがてらの商標権の簡単な説明です。
詳しい事は法律の専門家の人にお任せするとして・・・

私は「独占目的で商標権を取得する人なんているのか?」と甚だ疑問です。


男の娘☆ちゃんねるで使用した資料です。

問題となるのはイベント運営関係者の中でも、独善的な人だけです。





これは知的財産に関する判例を探していて見つけたものなのですが、
コナミへの反論というよりも喧嘩を売っているようにしか読み取れません。

ポケモン逮捕事件とドラえもん最終回事件の判例も
参考にしたかったのですが、見つける事ができませんでした。
(後日、ポケモン事件は略式裁判で判例が無いとの情報を見つけました。)


簡単な図にしてみました。



同人誌即売会やコスプレイベントと社会の図。
独善的な考え方を押し通すと起こりえるトラブル。
青い矢印はイベント間の繋がりを表現したかったのですが、解りにくかったですね。


2006年にイベントを始めてから遭遇した、
直接的、間接的、結果的なイベント妨害行為の一例。

他にも色々あるのですが、そんな事をしている暇があるのなら
もっと前向きで建設的な事をした方が良いと思います。


ここは特に補足する事はないかと。



運営判断をマトリクスで表し、それぞれについて、
どの立場の人が楽しい思いをするか?を5段階評価してみたものです、


相手の立場で考えてみよう。

自分の言い分が法的に認められるかどうかは、最終的には訴訟をしてみないと判らないので、
左右のどちらか迷うところですが、無難に考えるなら右側の判断を選びそうなものです。
あとは、上下の判断。先に例を出したときめきメモリアルの件も同様に、
相手に喧嘩を売るような発言をしてはいけないと思います。


同人誌即売会業界で使われる『皆』という言葉について、
どこまでの範囲を皆に含めて考えるか?
私は、日本国内だと思うんですよねぇ・・・


「解りにくい」と苦情が出てる許諾フリー化計画、
言葉で説明するのが難しくて図にしてみました。

4~5年かかるかと思ってたのですが、
セミナーに参加下さった、コミックマーケット準備会、コミティア実行委員会、クリエイション事務局を代表する
皆様のご意見を伺い、早ければ数ヶ月でかなり進められそうに思えました。


長々とありがとうございました。


セミナーでの質疑応答


イベント内イベントのような、ある意味サークル任せのプチオンリーのような形で
サークルの自主企画で「男の娘」みたいなものが使われる事については?


サークルさんが独自に行っているものは、問題ありません。
もし、主催者がサークルに行わせているような場合があるのであれば、
これは違うと思います。 (まぁ、調べたりはしませんが)


嫌がらせ目的かどうかは、誰が判断するのですか?

私が判断します。
(複数人で判断なんて事になると、判断に時間がかかりすぎます。
  OKを出しまくる方針なので、一人で即決するのが一番早いです。)


もしトラブルになると使えないとするなら名称は使えないと思うので
やる側からすれば、すごい負担になるわけですけど、それで仲良くやれるんですか?


トラブルを起こしたい訳ではないですよね?
そうでないなら、仲良くできると思います。


トラブルが発生する可能性が0ではないと考えると、
事実上イベントが開催できないと同じで、
ジャンル自体が衰退すると思いませんか?


全く思いません。
(実際に開催できているイベントがありますし、
「一緒にジャンルを盛り上げよう」という意識を持つ方と、
どうすればトラブルになるのでしょうか?)


敵意無くイベントをおこなっていても、
敵意があると判断される場合が全く無いとは言えないと思いますが、
そういった場合は、そのイベンターに対して気の毒なことになりませんか?


ですから、話し合いをしましょうと提案しています。
(実際に、その為にお話に出向いています)


お話しましょうという段階で、
仁義を切らなければイベントが出来ない訳で、それは負担でないですか?


先に同じような名称を使われていないか調べる事は当たり前の事であって、
イベントを運営する者として負担と思うような事ではないと考えます。


イベント開催の日程のが重なった時の調整は妨害ですか?

イベント日程が重なってしまう事があるのは仕方ない事であって、
その調整は妨害ではありません。


女性系ではカップリングで反目しあったりする傾向が見られますが、
そういった趣味趣向の領域まで入り込まない保証はないのですか?


そこまで入り込んで制限をかけるつもりは全くありません。


イベントの内容について、一つ一つお伺いを立てて了解を取らないとならないのか?
また、それをギリギリになって急遽変更しなければならない場合に、
連絡をとった上で検討しなければならない事を強いられるとしたら、ダメージが大きい。
そういった視点はありますか?


良いと言ったものを途中から駄目と言うつもりはありません。
名称使用の許諾はリンクを貼ればOKくらいに緩くしたいと考えております。
(イベントは主催者の作品です。内容については強制的な口出しは行いませんので、
一つ一つ聞いてくる必要もありません)


「男の娘☆」はブランドって考えればいいですか?
男の娘が付いてるものは一定のブランドがあるから、紛らわしいって話なのか?


うちのイベントは他の同人誌即売会とは内容の乖離が大きくなってきているので、
そういう事を考えるとブランドって言えばブランドですが、あんまりブランドって意識はありません。


以前、男の娘☆のHPにこれはうちが作った言葉だと書かれてましたが、
その主張は今も変りないですか?


モノリスの団体で独自に考えた名称ですが、
別途同じ名称を考えていた人がおられて、偶然に一致していた。
というのが現在の主張です。


『男の娘☆』で商標をとられていますが、
☆のつかない「男の娘フェス」については権利を主張されるのですか?


「男の娘☆フェスティバル」というイベントを開催してるので、
「男の娘フェス」という名称は、流石に名前が被せすぎだと思います。


美大生とかが画廊での展示会で使うのはいいですか?

商標権の範疇外なのでOKです。
むしろ教えて頂ければ見にいきます。


JASRACみたいにお金を取る怖い団体?

(これは連続した他の質問に埋もれてしまってたので、    
   セミナーの時は回答してないのですが、追加しておきます)
逆にJASRACに出向いて「グッズをくれ!」と言う団体です。
名称利用でお金を貰うつもりもありませんし、仮に1円でも入ってくるなら、
どこかに寄付します。(今なら震災の復興ですね)


今後の要望


これは絶対駄目、これはケースバイケースのようなものを提示して頂ければと思います。

なるべく制限の範囲を狭くする形にして欲しい。

作る側が安心するためには、ものすごく限定した所で客観的に分かるよう、
いきなり決定ではなく、話し合いの場を作っていただければと思います。





男の娘☆~オトコノコONLY同人誌即売会~